2023.12.20
ベトナムでは医薬品やサプリメントなどの健康食品、衛生用品、美容関連商品、日用品など日本同様に幅広い商品を取り揃えるドラッグストアが増えています。
ベトナムの販売チャネルは市場や個人商店のようなトラディショナルトレードからスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどのモダントレードへの転換が見られ、ドラッグストアもその例外ではありません。
医薬品を取り扱うドラッグストアとしては「Long Chau」、「Pharmacity」、「An Khang Pharmacy」があり、健康美容関連商品、日用品などを中心に取り扱うドラッグストアとしては「Guardian」、「Medicare」が展開しています。
日本でお馴染みのマツモトキヨシもベトナムに進出しています。
【「Long Chau」店舗の様子】
ベトナムの薬局(ドラッグストアや小規模薬局)では多くの先進国で処方箋医薬品に指定されている医薬品を処方箋なしで購入することができます。
そのため、軽い症状であれば病院に行かずに薬剤師に症状を伝えたうえで薬剤師が選んだ医薬品を購入し自宅で療養するセルフメディケーションが主流です。
ベトナムメディアによると、セルフメディケーション率は農村部で40~60%、都市部で最大76%に達しているようです。
医薬品の主な購入場所としては病院、ドラッグストア、小規模薬局が挙げられます。
ベトナム国内には医薬品を購入できる薬局が約57,000件以上あると言われており、そのほとんどを小規模薬局が占めています。
小規模薬局で医薬品を購入する場合、地域密着型の接客やドラッグストアより安価な価格設定などの魅力がある一方、偽造品や期限切れの医薬品が提供される恐れや価格が店主の言い値となることがあり、信頼性を欠く部分もあります。
対してドラッグストアは、安心安全な正規の医薬品であることに加えインターネットを通じた取引ができる利便性などの魅力がある一方、個人商店のような小規模薬局と比べ価格設定は高くなっています。
小規模薬局とドラッグストア双方でメリット・デメリットがある中、人々の意識が「単に価格が安いものを購入したい」から「信頼できる商品を購入したい」へと変遷ししつつあることもドラッグストア市場成長の背景となっているのではないかと考えます。
【「Pharmacity」店舗の様子】
ベトナム国内に展開する大手ドラッグストアとして「Pharmacity」、「Long Chau」、「An Khang Pharmacy」などが挙げられます。
調査会社Statistaの「Leading drug store brands in Vietnam as of March 2023, by number of stores」では「Long Chau」が1,016店舗、「Pharmacity」が937店舗、「An Khang Pharmacy」は524店舗でした。
同社の「Leading drug store brands in Vietnam 2022, by number of stores」では「Pharmacity」が1,000店舗、「Long Chau」535店舗、「An Khang Pharmacy」210店舗と「Long Chau」はここ1年ほどで急激に店舗数を拡大した一方、「Pharmacity」は店舗再編を進め店舗数は減少しました。
近年、大手3社は店舗数拡大を掲げていましたが、足元では大手3社の戦略に違いが生じています。
各社毎に戦略の違いがあるものの全体として店舗数は増加傾向にあり、都市部から地方部への店舗網の拡大が進むことで今後もドラッグストア業態は増加すると考えます。
【2023年3月時点の主要ドラッグストア店舗数】
※出所:Statistaデータより筆者作成