2025.04.21
2025年4月12日、ベトナム共産党中央委員会は第13期11回総会において、ベトナム省・市の再編に関する議案「決議第60号-NQ/TW」を採択しました。これにより現在の6つの中央直轄市と57省からなる63省・市から34省・市(6つの中央直轄市と28省)に再編されることとなります。
今回は再編の概要と目的について説明します。
※該当箇所を一部抜粋
〇省・市の統合
現在の63省・市を34省・市(6つの中央直轄都市+28省)に再編します。
ハノイ市、フエ市など11の省・市は統合することなく従来通り存続しますが、それ以外は隣接する省・市と合併し23の省・市を新たに設置します。
〇地方行政単位の見直し
3級制(※)をとっていたベトナム行政管理区画から第二級行政区(県・区など)を廃止し、全国の行政管理区画は省級(省・中央直轄市)と社級(坊・社・特区)という2級制になります。
これまでの第一級行政区(省・市など)、第二級行政区(県・区など)、第三級行政区(町や村など)から第二級行政区が廃止となります。
また、現在約1万ある第三級行政区(町や村)を60~70%程度削減します。
※3級制:第一級行政区は、省(Tinh)と中央直轄市(Thanh pho truc thuoc Trung uong)、第二級行政区は、県(Huyen)や中央直轄市の区(Quan)、第三級行政区は、地方省の社(Xa)や中央直轄市の坊(Phuong)
行政の簡素化と効率化が最大の目的です。また、行政単位の削減により過剰な公務員の人員整理も狙いではないかと考えられます。
ベトナム共産党のトー・ラム書記長は就任時から行政改革に力を入れています。今年3月には中央政府の行政改革を行っており、今回の省市再編についても同氏の意向が大きく反映されていると考えられます。
今回の再編は1976年の統一ベトナム誕生時に72省・市から38省・市体制にしたとき以来の大合併になります。
第二級行政区の廃止と第三級行政区の新区画は7月1日から、第一級行政区の新区画は9月1日から運用開始となります。
出所:VNA(ベトナムニュースサイト)
<存続する11省・市> <新設される23省・市>
3月の行政改革及び今回の再編により各省・市の行政機関は大きく変わります。将来的には行政の簡素化や効率化だけでなく、経済・産業面での相乗効果も期待されています。しかし、再編期間中は行政手続きが滞ることが懸念されており、これから法人設立や各種申請などの行政手続きをご検討の際には十分に注意する必要があります。
以上