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2025.06.20

日本語能力試験(JLPT)について

現在日本では多くの外国人が就労目的で滞在しています。在留資格取得のためには日本語能力が要件となっている場合があります。今回は外国人の日本語能力を測る主要な試験である「日本語能力試験(JLPT)」について紹介します。

 

【試験概要】

本試験は、日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し認定する試験として、1984年に開始されました。開始当初の受験者数は全世界で年間7,000人ほどでしたが、現在では年間100万人超が受験する世界最大の日本語の試験となっています

名称 日本語能力試験(JLPT)
主催者 独立行政法人 国際交流基金

公益財団法人 日本国際教育支援協会

目的 原則として日本語を母語としない人を対象に、日本語能力を測定し、認定することを目的としています。
試験内容 N1~N5までの5段階試験

言語知識(文字、語彙、文法)、読解、聴解

開催 年2回(7月、12月)

※開催地によって年1回もある

開催地 日本及び世界約96か国。(2024年)

ベトナムはハノイ、ホーチミン、ダナン、フエの4都市で開催。

 

【試験レベルの目安】

レベル 認定の目安
N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N4 基本的な日本語を理解することができる
N5 基本的な日本語をある程度理解することができる

出所:日本語能力試験HP

 

 

【受験者数の推移】

棒グラフは試験全体の受験者数の推移を表しています。折れ線グラフはそのうちベトナム国内で開催した試験の受験者数の推移です。あくまで開催国別の受験者数であり、ベトナム国籍の受験者数と一致するものではありません。

受験者数は2018年に初めて100万人を突破し2019年までは増加傾向でしたが、2020年はコロナウィルスの影響で大幅に減少しました。コロナ終息とともに再び増加し、直近2024年は1,470,989人と過去最多を更新しました。ベトナム開催の受験者数は、2019年に最多78,318人を記録しました。コロナで落ち込んだ受験者数は回復していますが2024年は57,023人に留まっています。

 

【日本語能力試験の認定が必要な事例】

本試験の認定は日本における外国人の在留資格の取得の要件として使用されています。

 

・在留資格「高度専門職」の認定に必要な高度人材ポイント制のボーナス加算要件

在留資格「高度専門職」の認定には「高度人材ポイント制」という、主に学歴・職歴・年収等の項目毎にポイントを付け、その合計が一定点数以上に達した人に資格が認められる制度があります。基本的に70点以上のポイントが必要となっています。

日本語能力試験はそのボーナス加算項目として採用されており、N1で15点、N2で10点のポイントが得られます。その他同等以上の日本語試験でも対応可能です。

(N1=BJTビジネス日本語能力テスト480点以上、N2=400点以上)

出所:入出国管理庁HP(高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度)

 

・在留資格「特定技能1号」に必要な日本語能力水準の要件

本試験の認定N4以上が日本語能力水準の要件となっています。

その他国際交流基金日本語基礎テスト(250点中200点以上)でも対応可能です。

しかし「技能実習2号」良好に修了し「特定技能1号」に移行する場合は、原則修了した技能実習の職種・作業の種類に関わらず、日本語能力水準の要件が免除されます。ただし「介護」分野では加えて介護日本語評価試験の合格が必要で、これは介護職種・介護作業の「技能実習2号」を良好に修了した者を除き試験免除されません。「自動車運送業」、「鉄道」分野では、従事する業務がタクシー運転手、バス運転手、運輸係員(駅係員、車掌、運転士)の場合は、N3以上が求められます。

出所:出入国在留管理庁(外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組)

(特定技能外国人受け入れに関する運用要領)

・技能実習制度の「介護」職種に必要な日本語水準

技能実習制度「介護」職種では、技能実習制度本体の要件に加えて日本語能力要件があります。第1号技能実習(1年目)はN4認定またはその他これと同等以上、第2号技能実習(2年目)はN3認定またはその他これと同等以上の能力を有すると認められる必要があります。また、日本語能力試験との対応関係が明確にされている日本語能力を評価する試験でも対応可能です。(例「J.TEST実用日本語検定」「日本語NATTEST」)

出所:厚生労働省(技能実習「介護」における固有要件について)

 

上記は本試験の認定が必要な在留資格の一例です。その他在留資格毎の必要な要件については、法務省出入国管理庁のHP等でご確認いただけます。

 

日本での就労を希望する外国人は在留資格の要件を満たすためや、日本企業への就職活動を有利にするために本試験を受験しています。また、日本国内では人手不足を背景に外国人雇用は増加傾向にあります。今後も本試験が日本語能力を測る有効な手段として、多くの外国人に受験されると考えられます。

 

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